ドイツ語で Metamorphosen と書きます。
この単語、メタモルフォーゼ(Metamorphose)の複数形でして、
メタモルフォーゼの本来の意味は「変化、変身」。
今回、このBlogで書きたいことは、
リヒャルト・シュトラウスが81歳の時に作曲した「メタモルフォーゼン~23の独奏弦楽器のための習作」(Metamorphosen, Studie für 23 Solostreicher )のこと。
実は、今年になって、演奏頻度が上がった曲なのです。
新型コロナウイルス感染拡大により、世界中でロックダウンが相次ぎ、音楽の演奏など出来ない状態が多くあったにもかかわらず、演奏頻度が上がるとは?
リヒャルト・シュトラウスが作曲した時、
それは第2次世界大戦末期の1944年から45年にかけての頃。
完成はナチス・ドイツ崩壊前の1945年4月12日。
戦争により国土は荒廃、絶望の心境になっていた作曲者の正直な気持ちを表した曲だと思います。
作曲された背景、曲の持つキャラクター、それらが現在のコロナ禍の状況と重なるのでしょうか。
ライブでの演奏が出来るようになってから、世界中で演奏されることが出てきました。
動画配信されたものも多くあり、中にはリモート演奏で演奏したというものも!
なぜ、いま「メタモルフォーゼン」なのか、私には納得できるものがありました。
私もこの曲に関してアンテナを張るようになったのは、まさに今年のコロナ禍の状況になってから。
そして「演奏してみたいなあ」とも思うように。
ならば、実現してみようではないか、とは思いたいのですが、この曲の演奏はなかなか大変です。
勿論、演奏が難しいということもあるのでしょうが、
編成が特殊なのです。
弦楽器しか使われないのですけども、
ヴァイオリン10
ヴィオラ5
チェロ5
の23名が必要で、それぞれ1パート1名という、まさに23の弦楽器独奏なのです。
この曲を指揮者なしでの演奏を見ることもあるのですが、これはもっと大変!
いやいや、もしも臨時編成でメンバーを探しての公演なんて、そもそもコストがかかりすぎる!
では、別の方法を検討してみると、「あ、これならなんとかなるかも?」という方法が。
それは、ルドルフ・レオポルドによる7つの独奏弦楽器による編曲版を使用すれば、という案。
これなら、編成はヴァイオリン2、ヴィオラ2、チェロ2、コントラバス1でOK。
正直な話、現状のコロナ禍の状況はまだまだ続くと思われる残念な状況。
この曲の意義はまだまだ求められる状況にあると考えられます。
今日は、じっくりとメタモルフォーゼンを自宅で聞いてみます。