勿論、私はコントラバス奏者ですから、実際に演奏体験を持つことはまずありません。
可能性があるのなら、弦楽合奏版での演奏に触れることでしょう。
実は、私はかなり昔に、弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」をマーラーによる編曲で弾いたことがあります。
その公演前に書いたコラムがこちら。
そして、ある演奏会で、弦楽四重奏曲第13番より第5楽章のカヴァティーナを弦楽合奏版で弾いたことがありました。
ちなみに、弦楽合奏版なら、こんな感じの演奏になるのかな?
この時、楽屋でこんな会話を誰かとしたのを記憶していました。
私「カヴァティーナを弾いたら、この後は大フーガを弾いてみたくなるねえ」
彼「え?なんで?この後はちゃんと終楽章のロンドを弾くべきでしょう」
私「いや、この曲の初演は終楽章が大フーガだったし、僕はその方が好きだなあ」
彼「そりゃ、あなたはコントラバス奏者だからそんなことを言うのでしょ!あんな難しい曲をカヴァティーナの後に弾くなんて、僕はしんどくて嫌だよ!」
彼が言うことも確かに一理ありです。
事実、初演の際は、大フーガが難解なので、ベートーヴェン自身は珍しく他者からの助言を受けて、現在の終楽章に差し替えて出版していますからね。
そして、大フーガは独立した作品として残ったのでした。
でもね、知らないコントラバス奏者だから「弾いてみたい」と思うのです。
だって、指揮者で作曲家だったワインガルトナー(1863-1942)も弦楽合奏版に編曲しているのですからね。
ワインガルトナー版かどうかは定かではないのですが、こんな演奏動画が見つかりました。
個人的な感じ方なのでしょうが、この曲を聴いているとなぜか涙腺が緩んできてしまい、
この動画でのタイムで13分50秒くらいには涙が流れることがしばしば。
「は?この曲のどこが涙腺崩壊してしまうの?」と共感を得られることはなかなかないのでしょうけどねえ。
じゃあ、この曲だったら、どうでしょうか?
以下に演奏動画を貼り付けておきます。
そうなのです、やっぱり名曲だから、コントラバス奏者としても演奏してみたいと思うことに罪はないのです。
まあ、天国にいるベートーヴェンさんはどう思うのかはわかりませんけれどもね。