コントラバス奏者 ひらてぃ~のブログ

コントラバス奏者・ピアニスト・指揮者として活動している平田昭浩のBlog

故人の名誉は傷つけたくないのですが

2月2日は、オーストリア出身のヴァイオリニストで作曲家のフリッツ・クライスラーの誕生日。

1875年生まれなので、3年後には生誕150周年を迎えます。

ちなみに、没年は1962年なので、今年で没後60周年。

なかなかの長生き。

 

私はこれまでにピアニストとして、彼のヴァイオリン作品のピアノパートをよく弾いてきました。

おっと、コントラバスソリストとして唯一弾いたのが、

ベートーヴェンの主題によるロンディーノ」

有名な曲ですが、参考までに演奏動画を貼り付けておきます。

youtu.be

 

私は以前、この作品を弾いた時、ベートーヴェンの原曲が何なのか知らなかったのです。

「有名な作品なのかなあ?」と思っていたのですが、

元ネタを知って「なんや、あまり知られていない作品やなあ」と思ったのでした。

そのベートーヴェンの元ネタ、

「ピアノとヴァイオリンのためのロンド ト長調 WoO 41」という曲。

これも、演奏動画を貼り付けておきます。

youtu.be

 

似ているといえば、確かに似ているのですけれども、

そもそも、元ネタがあまり知られないのはなぜなんだろうか?

そう思った私、いろいろと彼のことを知ると、驚愕の事実を知ることとなるのです。

 

クライスラーの作品、実は「○○作曲、クライスラー編曲」というものがかなりありますが、

どうも原曲が世に知られないのです。

原曲はどこに存在するのか、そんな疑惑をかけられるのですが、

ある時、クライスラーはあっさりと白状しました。

「全部、自分の作曲ですよ」

 

さあ、もしもこの疑惑が現代の時代にかけられたら、果たしてどうなるのでしょうか?

仮定の話になりますが、クライスラーが2022年に生きているとして考えてみます。

まず、嘘を付いていたことには間違いないのですから、道義的にはアウトです。

ただ、この内容での嘘は、刑法による罪に問われることは困難かと。

いやいや、元ネタの作曲者の著作権を侵害してはいないのか?

まあ、過去の作曲家の名誉棄損の可能性もあるかもしれませんが、

クライスラーがネタや引用に関わった作品の作曲家は、すでに著作権保護の対象期間から外れていますから、

著作権侵害には当たらず、従って盗作疑惑も存在しません。

 

まあ、この「自作隠し」事件、どう評価するかは別として、

今の時代に彼のようなことをしたら、一発アウト!

もう、音楽業界で生き残ることは厳しいのでは?

というか、こんなこと、誰もしませんよ!

メリットなしですからね。

 

でも、このことを知った私、

ベートーヴェンの主題によるロンディーノ」も原曲のロンドも、

これを契機にちょいと勉強してみようかなあ。

そんな心境です。

 

おっと、故人の名誉を傷つけるつもりは全くありませんよ。

誤解ありませんように。