2月2日は、オーストリア出身のヴァイオリニストで作曲家のフリッツ・クライスラーの誕生日。
1875年生まれなので、3年後には生誕150周年を迎えます。
ちなみに、没年は1962年なので、今年で没後60周年。
なかなかの長生き。
私はこれまでにピアニストとして、彼のヴァイオリン作品のピアノパートをよく弾いてきました。
「ベートーヴェンの主題によるロンディーノ」
有名な曲ですが、参考までに演奏動画を貼り付けておきます。
私は以前、この作品を弾いた時、ベートーヴェンの原曲が何なのか知らなかったのです。
「有名な作品なのかなあ?」と思っていたのですが、
元ネタを知って「なんや、あまり知られていない作品やなあ」と思ったのでした。
そのベートーヴェンの元ネタ、
「ピアノとヴァイオリンのためのロンド ト長調 WoO 41」という曲。
これも、演奏動画を貼り付けておきます。
似ているといえば、確かに似ているのですけれども、
そもそも、元ネタがあまり知られないのはなぜなんだろうか?
そう思った私、いろいろと彼のことを知ると、驚愕の事実を知ることとなるのです。
クライスラーの作品、実は「○○作曲、クライスラー編曲」というものがかなりありますが、
どうも原曲が世に知られないのです。
原曲はどこに存在するのか、そんな疑惑をかけられるのですが、
ある時、クライスラーはあっさりと白状しました。
「全部、自分の作曲ですよ」
さあ、もしもこの疑惑が現代の時代にかけられたら、果たしてどうなるのでしょうか?
仮定の話になりますが、クライスラーが2022年に生きているとして考えてみます。
まず、嘘を付いていたことには間違いないのですから、道義的にはアウトです。
ただ、この内容での嘘は、刑法による罪に問われることは困難かと。
いやいや、元ネタの作曲者の著作権を侵害してはいないのか?
まあ、過去の作曲家の名誉棄損の可能性もあるかもしれませんが、
クライスラーがネタや引用に関わった作品の作曲家は、すでに著作権保護の対象期間から外れていますから、
著作権侵害には当たらず、従って盗作疑惑も存在しません。
まあ、この「自作隠し」事件、どう評価するかは別として、
今の時代に彼のようなことをしたら、一発アウト!
もう、音楽業界で生き残ることは厳しいのでは?
というか、こんなこと、誰もしませんよ!
メリットなしですからね。
でも、このことを知った私、
「ベートーヴェンの主題によるロンディーノ」も原曲のロンドも、
これを契機にちょいと勉強してみようかなあ。
そんな心境です。
おっと、故人の名誉を傷つけるつもりは全くありませんよ。
誤解ありませんように。