昨日、Twitterのトレンドに「死の舞踏」というのが上がっていました。
音楽家の私なので「サン=サーンスの作品のこと?」なんて思ってしまいましたが、
内容は全く違うもの。
まあ、この種の勘違いはよくあるのでしょうね。
その死の舞踏、私はサン=サーンスの作品で思い入れが強くありまして、
今日はそのことをダラダラと書きます。
サン=サーンスは来年没後100周年です。
1835年生まれですから、当時としてみれば、かなりの長寿。
きっと、来年は彼の作品が取り上げられる頻度が上がると思われますが、
こればかりは、新型コロナウイルス感染が収束に向かえばの条件付き。
彼が書いた交響詩「死の舞踏」は実によく出来た作品でして、
人気が高いです。
でも、この作品が出来る2年前、1872年には歌曲として先に書かれています。
これも、なんだかおどろおどろしい不気味さがありまして、興味深い作品。
ところで、曲名の「死の舞踏」、寓話や美術において重要な用語となります。
14世紀中ごろ、ヨーロッパで疫病であるペストが大流行。
百年戦争も相まって、おびただしい数の死者が出てしまったのでした。
死を前に半狂乱になって踊り狂う様を描いた詩から始まり、絵画や彫刻で表現していく死生観が出てきたのでしょう。
このこと、何か現代のコロナ禍の状況に少し似ているところがあるように思われます。
ただ、ペスト大流行の時、対処するワクチンや薬、そして現在行われている対策など、何にもしていなかったので、
死の舞踏という概念の詩や彫刻、絵画、そんな表現活動が行われたのですが、
現在では、その表現活動に制約がかかっていることが大きな違いなのでしょうか。
現在にも何か通ずるものがあるような気がしている私、
今一度、「死の舞踏」というものを考えるきっかけになるかもしれません。
私は音楽家だから、演奏で表現したいもの。
かなり昔、ヴァイオリンとピアノの版を弾きました。
勿論、ピアノのパートを弾いたのですけども。
あの当時、あまりにも難しいパッセージが多発したため、弾くだけで精一杯だったのですけども、
今は、楽曲の解釈や捉え方に余裕がある自分があるような。
ならば、いろいろと準備をしておきましょうか。
あらゆる演奏の可能性があるかもしれません。