ベルリオーズの交響曲「イタリアのハロルド」は昔から大変好きな曲。
好きすぎて、弾けもしないのに、リスト編曲のピアノ版まで楽譜を買ってしまったほど。
当然、いろいろと生演奏が聞ける機会があったら、惜しみなく見に行くようになったのでした。
ヴィオラは物語の主人公であるハロルドを描写。
ジョージ・ゴートン・バイロンの長編詩『チャイルド・ハロルドの巡礼』から着想を得て書かれた交響曲なので、物語性が感じられる音楽としての魅力があり、
決してヴィオラ独奏の協奏曲ではないのです。
なので、第4楽章になると、ソリストはほぼ舞台の上で立ちっぱなしの状態。
そうそう、かなりの時間を暇になってしまうのです。
中には、休みの時に椅子に座っていたソリストさんも見たことがありました。
でも、ふと思ったのです。
第4楽章でハロルドは山賊に殺されてしまうのです。
曲のラストにちょっとだけ登場する部分は、まるで回想シーンのようですから、
(舞台裏でヴァイオリン2本とチェロが演奏している部分)
舞台上で音楽に浸っていることは、物語の内容に反していないだろうかと。
え~、そんなん、言わんといて、とはヴィオラ弾きから言われそう。
でもね、私の解釈に合致した舞台演出があるのですよ。
その証拠、以下の演奏動画で見てみましょう。
ヴィオラはタベア・ツィンマーマン、指揮がフランソワ=クサヴィエ・ロト、オーケストラがレ・シエクルというメンバー。
演奏内容を簡単に時系列に沿ってみます。
44:22 演奏開始
1:14:24 第4楽章開始
1:17:23 ソリスト、舞台から立ち去る!
え~、まだ弾く箇所が1つ残っているのに!どうなるの?
1:23:52 ソリスト、舞台下手奥からひっそりと登場。
コントラバスの後ろで演奏。
時間の確認は出来ないが、演奏後はソリスト退場。
1:26:50 演奏終了。万雷の拍手。この時点でソリストは舞台にいない。
1:27:01 ソリストが指揮者に促されて登場。
こんな感じ。
演奏内容も物語性を重視した独自の解釈が目白押しで、私は一気に気に入ってしまった演奏。
それに加えての演出内容ですから、面白くて仕方がありません。
もしも、もっと舞台演出を極めてたいのなら、ソリストは第1楽章の演奏から弾きながら歩いて登場してもいいかもしれませんねえ。
そうそう、音楽の内容が聞いている人になんとなく映像が浮かぶようなことになったら、
ファンタスティックに楽しめると思うのですけれどもね。
一度でいいから、そんな舞台を見てみたいなあ。
おや、演劇をしているのではありませんよ。