コントラバス奏者 ひらてぃ~のブログ

コントラバス奏者・ピアニスト・指揮者として活動している平田昭浩のBlog

ブラームスは間違えたのか?

本日のコントラバスレッスン後での雑談で、

ブラームスのヴァイオリンソナタ第1番「雨の歌」が話題に。

お弟子さん曰く「あの曲の出だしで、○○さんの演奏では(この場合はCDによる録音)、ヴァイオリンの音がすぐに詰まった感じがして、あれが嫌なんですよ」との発言が。

なんでも出だしの音と次の音との間に隙間があるのが気に入らないのだとか。

私「なるほど、でもですよ、実は楽譜にはちゃんと四分音符と八分音符の間に八分休符が入っていて、しかもその2つの音はスラーとスタッカートの表記もあるので、これはブラームスがこうしてほしいと書いてあるのですよ」と説明。

(参考までに、ブラームスの自筆譜をご覧ください。)

 

このヴァイオリンの出だしのパッセージ、別の著作でもいろいろと分析や解釈が書かれたものを読んでいたことがある私だったので、

ここの部分のうんちくにはかなりの自信があったのですけれども、

しかも、実際に私のコントラバスでそのパッセージを弾いてみました。

ところが、私の答えの後、お弟子さんから予想もしないコメントが返ってきました。

「これはブラームスの間違いですね、あんなところで音が途切れたら伸びやかに歌えなくてダメです。」

ブラームスも人間ですから、完璧ではないでしょ、あそこに休符を入れた、これは完全に彼の作曲の間違いです。どう考えても、あの隙間は許せない!」

 

楽譜に書いてあることをまずはしっかりと学習して、そこから作曲家が意図するものを読み解き、そこから自分の解釈を織り交ぜながら、演奏を展開していくことをテーゼとするクラシック音楽家にとって、

上記のコメントはなかなか驚きました。

この場合、ブラームスが間違っているとはさすがに思えなかった私だったので、

「そこは好みの問題か、聞いている解釈の受容の部分でしょうかねえ?」とお茶を濁しましたけれども、

この曲を知る人にとって、あの出だしの音はどうなのでしょうか?

というか、曲の全編にわたって、あのモティーフが登場しますから、

こうなると曲の存在意義に関わってきますね。

 

ただ、予想もしない雑談の展開に、驚いただけでなく、

私も日頃の勉強を怠らず、精進していかないといけないのかなあと思った次第。

でないと、いろんな質問に対応できなくなりますからね。

勉強、勉強。