おいおい、なんてことをタイトルにしているのだ!
オーケストラで弾いている立場で、こんな発言が許されるのか!
しかも、指揮者の仕事もしているじゃないのか?
はい、仰る通りです。
通常ならば「指揮者を見てはいけない」なんてことはご法度です。
でもね、見ない方が断然いい場合があります。
今年8月の出来事でした。
オーケストラのコンチェルト公演。
オーケストラは1管編成の非常に小さな人数でした。
コントラバスは私だけ。
公演の曲目にベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」の第1楽章がありました。
途中、2か所にピアノがゆったりとした部分があります。
ここ、ソリストはテンポを揺らして自由に弾きたいはず。
その1泊目にコントラバスがpizzicato奏法で演奏。
他の楽器はロングトーンで和音を奏でるのみ。
この部分、通常のオーケストラなら、指揮者の棒が頼り。
勿論、ソリストの音は聞きますけれども、それだけだとコントラバスセクションは危なっかしくてねえ。
私も過去に何度もこの曲を演奏してきていますが、
今年の8月の公演の時のように、コントラバスがたった一人の状態で弾くのは初体験。
そして、弾いている場所からソリストの様子がわかる状態。
そこで、私は考えました。
「ソリストの動きに完全に寄り添えばいいんじゃないかな」
この瞬間、指揮者の棒は見なくなってしまったのでした。
指揮者の先生に怒られやしないかと、ちょいとビクビクしましたが、
この方が室内楽的で演奏は自由であったと思っています。
ただし、ソリストの感想は全く聞いていないので、
私の思い込みの可能性もありますけれども。
別の視点での話ですけれども、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲をラッハナー(Lachner)が弦楽五重奏版の伴奏にした編曲版を書いています。
以下に、第5番「皇帝」の演奏動画を貼り付けておきましょう。
勿論、ここに指揮者は存在しません!
なので、指揮者を見ない場合は限定的にあるということですから、
決して指揮者不要論を言いたいのではないことをご理解のほどを。
でないと、私も指揮者業務を廃業しないといけないからです?
勿論、廃業しませんよ。