ベートーヴェンの作品で、
オーケストラに合唱が入って、ピアノ独奏もあるという、非常に珍しい曲があります。
その名は「合唱幻想曲」
まあ、第九があまりにも偉大過ぎますから、
この作品の演奏頻度は第九に比べれば、かなり落ちますけれども、
第九の演奏会の際、第九の前に演奏されることもしばしば。
個人的には、とても好きな曲です。
ピアノも味わえて、合唱も味わえて、
なんとなく第九のコンパクト版のようにも。
残念ながら、私はこの曲の演奏体験を持っていません。
常設のプロオーケストラならともかく、
私のようなフリーランスの立場だったり、
あるいはアマチュアオーケストラの場合だったら、
この曲の演奏にはコストがいろいろとかかり、なかなか演奏するにはハードルが高い曲でして、
演奏したことがないという人も多いのは納得の理由です。
ところが、そんな懸念を吹っ飛ばしてくれる、衝撃の演奏動画を見つけてしまいました。
この曲を演奏するには、あまりにも狭すぎる会場。
従って、弦楽器の人数はかなり少なめ。
オーケストラのすぐそばに観客が立ち見でいるという、まさにかぶりつきの環境。
ピアノは奥のスペースに位置するとして、合唱はどこに?
カメラアングルもよく出来ていますから、とにかく見たらわかります。
合唱は、なんと観客の中に紛れ込んでいたのでした。
これにより、観客は演奏者の渦の中に入り込むこととなり、
通常の演奏会場では味わえない感動を覚えることとなります。
これを見て、私は「素敵なことだなあ」と思ったのでした。
演奏の密度は私が感じた正直なところ、不満はいろいろとあったのですけれども、
こんな演奏体験を持つことは演奏者も聴衆もファンタスティックなことで、
もしも私がその現場にいたら、興奮が止まらないことでしょう。
ただ、別なことも思いました。
「現在のコロナ禍の状況だと、これと同じことをすることは不可能だなあ」
そうですね、思いっきり密な環境に飛沫対策はまず講じられない状況。
となると、思いっきり広い会場での演奏しか方法はないのか、
あるいは、野外での演奏となるかですね。
出来ない理由を探すよりも、出来る理由を探すことの方が大切。
諦めず、気長に演奏出来る日を待っています。